「この薬って、一度飲み始めたらずっと飲まないといけないんですか?」
外来でこの質問をされる回数は数え切れません。そしてこの質問の裏は単なる疑問ではないと思っています。そのため私は必ず「どうしてそう思うのですか。」と聞き返しています。「できれば薬を飲みたくない」「薬に頼る生活が不安」「お金がない」「忙しくて飲むのを忘れてしまう」と様々な答えが返ってきます。
毎日飲む薬が増えるのは、誰だって嬉しいことではありません。ただ、「ずっと飲まないといけないのか」に対する答えは、実は薬によってまったく違います。今回はそこを整理してみます。
「ずっと」は本当に「一生」なのか
高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病が多いです。
「ずっと飲む薬です」と言われると「一生やめられない」と聞こえるかもしれません。でも、実際にはそこまで絶対的な話ではないケースもあります。
生活習慣の改善(食事の見直し、運動、減量、減塩)によって、薬を減らせたり、場合によってはやめられたりすることがあります。
「ずっと」は「何も変わらなければずっと」であって、「何をしても一生やめられない」ではない。
大切なのは自己判断でやめないこと。変えたいなら、医師と一緒に計画を立てましょう。
一番やってはいけないこと
ここで強くお伝えしたいのは、自己判断で薬をやめないでほしいということです。
「調子が良くなったから」「飲み忘れが続いたけど平気だったから」「ネットで薬は体に悪いと書いてあったから」——こうした理由でやめてしまう方がいます。
生活習慣病の薬はやめた直後に自覚症状が出ないことが多いです。血圧が上がっていても本人は気づかない。そして気づいたときには脳卒中や心筋梗塞といった取り返しのつかない形で現れることがあります。
薬をやめたい気持ちは否定しません。でも「やめたい」と思ったら、やめる前に医師に相談してください。減量のステップを踏んだり、生活習慣の改善と並行して徐々に減らしたりする方法を一緒に考えられます。
「何のために飲んでいるかわからない」問題
以前、ブログの開設記事でも触れたのですが、長年同じ薬を飲んでいると、「何のためにこの薬を飲んでいるのか」がわからなくなっている方がいます。
「10年飲んでるから」「前の先生に出されたから」——理由がそれだけになっている。これは患者さんだけの問題ではなく、処方を引き継いだ側の医療者が十分に説明できていないことも原因のひとつです。
もし今飲んでいる薬について「なぜこれを飲んでいるのか」が説明できなければ、次の受診のときにぜひ聞いてみてください。「この薬は何の薬ですか?」という質問は、まったく失礼ではありません。むしろ、自分の体に関心を持っている証拠です。
おわりに
「薬を始めたらずっと飲まないといけないの?」への答えは、「薬による」というのが正直なところです。短期間で終わるものもあれば、長く続ける必要があるものもあります。そして長く続ける薬であっても、生活習慣の改善で変わる可能性があります。
大切なのは、自分が飲んでいる薬がどのタイプなのかを知ることです。そして疑問があれば遠慮なく医師に聞いてください。その一言が、薬との付き合い方を大きく変えてくれるはずです。
あとがき
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この質問は本当によく聞かれます。それこそチラシにして配って先に読んでおいてほしいくらいにはよく聞かれます。ただ興味深いのはその裏にあるその人の考え方です。仕事やお金といったライフスタイルの要素から、薬を飲むことに抵抗がある考え方の要素など人それぞれです。私も幼少期に薬を飲むことがあり朝の1回だけだったのですが、本当に忘れることが多くて薬を飲むのも大変だと感じたことがあります(ほぼ親に管理してもらっていました)。この記事を書いていて、チラシにして配るのでなくこれからもこの裏にある理由にできるだけ対応できるように心がけていこうと思いました。
これからも一緒に学んでいきましょう。それではまた次回。

